相続人に未成年者がいる場合

 相続人たる権利を有する方は、その年齢に関係なく相続人になります。

 未成年でも関係ありません。

 

 小学生も、生まれたてでもです。

 

 遺産分割協議では、未成年も含めた相続人全員の同意が必要です。

 

 ところが日本の民法上、未成年者は単独で法律行為を行うことができず、法律行為を行うときには法定代理人(大抵は両親)が同意を与えたり、親が子を代理して契約などを行います。

 

 遺産分割協議も『法律行為』に該当します。

 

 日常の法律行為(例:携帯の契約等)では親権者が子の法定代理人になり契約を代理して行うことが多いと思いますが、相続に関しては、その代理する親権者と子(未成年者)が相続人になることがほとんどあり、この場合、親権者が子の法定代理人として遺産分割協議について代理をしたり、子に同意を与えることはできません。

 

 親と子の利害が対立するためです。これを【利益相反行為】といいます。

 

 そこで、このような場合、家庭裁判所に子の代理人を選任してもらう必要がございます。

 この代理人を申立する手続きを「特別代理人選任申立」と言います。

 

 

特別代理人の選任が必要なケース

事例1 

 

■夫、妻、長男、長女、二男の5人家族で、長男、長女は20歳を超えているが、二男はまだ17歳の場合に、夫が死亡したので、遺産分割協議をすることになった。

 母親が二男の法定代理人として遺産分割協議を行うことはできません。そこで、相続権のない第三者の特別代理人の選任を家庭裁判所に申立て、母親、長男、長女、特別代理人で遺産分割を成立させます。

 

事例2

 

■母親と子ども2人が相続人で、子どもが2人とも未成年だった場合

 事例1は、未成年が一人だったので、その子どもの代理人を一人選任すれば、よかったですが、この場合、特別代理人が2人必要になります。

 母親と2人の特別代理人で話し合いをします。

 つまり、未成年の子どもの人数だけ特別代理人が必要になるということです。

 

事例3

 

■離婚した夫婦の間に、未成年の子が2人いて、その二人の子の親権は、母親にある場合に、元夫が亡くなった場合の遺産分割

 離婚した妻には、当然相続権はありませんが、その子どもには相続権は当然あります。元妻には相続権がないので、代理人になれるのではと思われるかもしれませんが、2人の子どもの間には利益の相反関係が出てきますので、母親1人で2人の子どもの代理人になることはできません。したがって、母親がどちらかの子の代理人となり、もう1人の子どもに特別代理人を選任しなければならないことになります。

 

特別代理人になれる人

 特別代理人は司法書士や弁護士等の専門家に依頼しなければならないと思ってる方も多いと思いますが、必ずしも、専門家である必要がございません。

 専門家に依頼すれば報酬が発生します。

 当事務所では、一般的な相続手続きであれば、子どもの叔父や叔母、祖父、祖母等が特別代理人になれるように手続きを致します。

 

特別代理人選任申立必要書類

・未成年者の戸籍謄本

・特別代理人候補者の住民票または戸籍の附票

・遺産分割協議書(案)

・登記簿謄本等

費用

一般的な相続の場合

司法書士報酬:5万円(税別)

一人増えるごとに2万円加算

+実費(印紙代や戸籍代、切手代など)